「棒ほど願って」水谷静夫  #IPSJ72

IPSJ72(2010/3/9) の「私の詩と真実」の水谷静夫 先生の講演についてのレポです。計算機の黎明期の雰囲気が感じられて、むかしばなし好きには、とっても楽しい講演でした。

水谷先生の「歴史的仮名遣いの方が例外処置が少ないので,現代仮名遣いより簡単に記述できる。」という言葉がとっても印象的でした。



以下、ログです。

  • 和田英一先生より、水谷先生の紹介。岩波国語辞典の編者としても有名。
  • 計算機との出会いについて
    • 1962 電気試験所 YAMATO の新聞記事を見た。
    • 当時、国立言語研究所に勤務していた。計算機が語彙調査に役立つ可能性があると思った。
    • アポなしで、電気試験所に飛び込んだところ、快く見せてくれた。
    • 電気試験所の人が、ー週間のセミナーを、国語研究所の4人のためにに開いてくれた。驚きだった。
    • YAMATOはカタカナの日本語入力ができた。
    • 4段活用の終止形を打ち消しにかえるプログラムを作成した。例 カク->かかない
    • コーディングミスは無かった。しかし、アル->アラナイ を見落とした。
    • このときに、はじめて、アルゴリズムはツレナイものだと思った。
  • 大学で教えるようになった。
  • 方法論
    • 語彙調査をするようになった。対象とするデータを変えると、よく使われる言葉が変わる
    • 上位50は、どんな文書でも同じ
    • 200-500が非常に特色が出る。
    • どういうデータをとったらいいか非常に困った。
    • 統計数理研究所でサンプリング、有意差検定を教わった
    • 友達が増えた
      • 論理学 吉田夏彦
      • にしむらひろひこ?
      • くろかわりゅうめい?
      • 一松信
  • SNOBOLとLSIP
    • 和田先生から、SNOBOLという言語の存在を聞いた。
    • SNOBOLで、クワイン? の String variable という概念を知った。
    • 引用符の論理的な性質が分かっていなかった
    • quotation の logical type を作った。
    • SNOBOLが嫌だったのは、ステートメント一つごとに飛び先を指定することができる。そのせいで、飛び先を間違えて、虫が多かった。
    • 飛び先を無くすことを考えた。
    • そのころ、和田先生からLISPを教わった。
    • リカーシブの考えは、言語学入れ子(ネスティング)だとわかった。
    • 言語学入れ子の概念を導入したのは、時枝誠記先生
  • 朱唇
    • 日本語のプログラミング言語
    • プログラムを書いていたらわかったはず。
    • YAMATOは、50音がコードと対応している。 そのうちやゆよが詰めてあったり、わをんだったり
    • 歴史的仮名遣いの方が簡単に記述できる。 例外処置が少ない
    • 現代仮名遣いは駄作だと思います。
  • まとめ
    • 計算機が私の学問を変えた。
    • 言語の構造を把握するために、アルゴリズムを考える
    • アルゴリズムが在れば、言語が変わった時に、影響範囲がわかるはず。
  • 質問
    • Q 藤堂先生と白川先生 について
      • A それぞれの説を、直にきいていると、ホントだと思えてくる。
    • Q 英語からの外来語について
      • A 全体としては、残念
      • 日本人が平均的に英語が上手くなれば大した問題でない。
      • リカーシブ 頭山的
      • 訳語をつくるときには注意してほしい
      • コンテキストフリー: 文脈自由ではなく文脈無用とすべき

朱唇のドキュメントと処理系をネットで公開して欲しいなぁ、と思いました。